債務超過を減らして資金調達を有利に!
債務超過と聞くと「すぐに倒産しそうな危険な状態」と判断されることも多いですが、厳密には違います。債務超過は「債務」の意味から見ると、「行為や給付を提供する義務(債務)」が「負債が増えすぎて履行できない(超過)」ということになります。
債務超過とは、会社が抱えている負債の総額が、資産の総額を超えている財務状況を指します。
債務超過によるデメリット
- 銀行からの融資が受けづらくなる
- 取引先とのつながりがなくなる
- 上場廃止になる恐れがある
債務超過になると、周りからは経営が危ない・経営管理が甘いと認識されます。金融機関や取引先が付き合いを考え直すのは当然のことです。デメリットの影響を受け続けると結果的に倒産となる可能性も高いです。できるだけ債務超過に陥らないことが、経営戦略上で重要となるでしょう。
債務超過を減らす方法
利益を出す
もっとも効果的なのは、会社の利益を上げて資産を増やすことです。とはいっても、いきなり売上高を出したり、営業利益や経常利益が増えたりを期待するのは難しいでしょう。「無駄を減らす」という方向で進めることをおすすめします。
- 売上原価や人件費の見直し
- 仕入先や取引先の選定や相見積の徹底
- 時価が簿価を上回る遊休資産や不動産の売却検討
増資する
増資する、つまり純資産を増やすことで、会計上の債務超過を解消する方法です。
DES(デット・エクイティ・スワップ)
DES(デット・エクイティ・スワップ)とは、金融機関などの債権者が、債務者にあたる債務超過した企業の株式を取得し、債権を株式に振り替えることです。DESをうまく利用すれば、債権者と債務者の双方にメリットがあります。
債務免除のお願い
債務免除とは「債権者が債権を放棄すること」、つまり買掛金や借入金などの支払いや返済を0にしてもらうことです。債務免除を行うと、会計上はその分「利益を得た」という解釈になります(債務免除益)。とはいえ債権者から見ると、非常に負担が大きい手段です。よほどの関係性を持っていたり、関係の継続で大きなメリットにつながったりしなければ、実行は難しいでしょう。また、債務免除で得た利益は課税対象です(債務免除課税)。税金の支払額にも注意が必要になります。
会社再生法を適用する
自社努力だけでは債務超過の改善が難しいときは、会社再生法を適用し経営を立て直します。会社再生法とは、事業を廃止せずに経営を立て直すための法律です。裁判所の認可のもと、膨らんだ債務を減らしていきます。会社再生法には、民事再生法と会社更生法の2種類が存在します。
- 民事再生法:原則として、経営陣はそのままで再生計画案に基づいて再建を進める
- 会社更生法:原則として、経営陣を全員退陣させ、裁判所が選任した管財人によって再建を進める